▽志村幸雄 前・東京網走会長挨拶
東京網走会の皆さん!!
2007年明けましておめでとうございます。昨年は佐呂間の竜巻事故、オホーツク沿岸一帯での津波警報発令など、
在京の私どもにとっても他人事ではない自然災害の連続発生に大いに不安を覚えたものです。科学技術が長足の進歩を遂げている今日、この種の災害に対する対応の遅れは、単に天災というよりは人災の謗りのあることを銘記すべきでしょう。
正月といえば、「報知新聞」は今から100年ちょっと前の1901(明治34)年1月2,3日付けの紙上に「20世紀の予言」として23項目を挙げ、その1つに「気象上の観測進歩して天災来たらんとすることは1カ月以前に予測」とあります。「写真電話」(テレビ電話)、「買物便法」(ネット販売)、「寒暑知らず」(エアコン)といった技術がらみの予測はズバリ的中していながら、自然相手の対策が出遅れているのは残念至極というほかありません。
さて、東京網走会も今年で創立28年目に入りますが、年1回の総会・懇親会にとどまらず、機会を捉えてさまざまな活動に取り組んでいます。昨年は設立100年を迎えた市立図書館への図書寄贈運動を展開し、多数の会員の協力を得て18点70冊の図書をお届けすることができました。すでに当会創立25周年のものを含めて「東京網走会寄贈図書」として開架されています。
16のふるさと会が参加しているオホーツク圏(網走支庁管内)ふるさと会連合会の方も親睦と情報交換を目標にしながら、地道な活動を続けています。昨年は午来斜里町長をお招きして知床自然遺産の話を聞きました。長期にわたっての苦闘続きの運動が結実しての登録だったことを伺って、参加者一同、胸が熱くなるのを感じた次第です。
網走にとっても知床の自然遺産化に伴う経済効果が大きいように伝えられていますが、地方の脱公共事業化が現実になる中で、それを含めた総合的な経済活性化策こそが喫緊の課題と思われます。昨年4月の改正商標法による「地域団体商標」(いわゆる地域ブランド)の開発・活用などはその対応策の1つになりそうです。網走でもすでにその取組みが始まっているようですが、もっと多面的、戦略的な対応が望まれます。道産子にとって夕張市の財政破たん問題は今やトラウマのようになっていますが、「網走は違うよ」と胸を張って言えるようになることを期待して私のご挨拶とします。
平成19年元旦
東京網走会会長 志村幸雄
第21回東京網走会・新宿京王プラザホテルにて
◎東京網走会長就任の挨拶
21世紀の最初の年を迎えて、心からお祝いを申し上げます。
東京網走会のホームページ(HP)でこんなご挨拶をする羽目になったのも、昨年たまたま林 秀前会長の後を継いで会長に選任されたからに他なりません。私は60年余りの人生を送る中で何度か予期しない事態を経験しましたが、今回の会長就任もまさに晴天のへきれきと言うべきか、天の采配の間違いというべきか、その一つと言えます。
東京網走会の発足は1978年に溯り、90年前後の傘下団体を数える北海道ふるさと連合会の中でも古顔の部類に入るようです。会員数は名簿で捕捉されている分だけでも、約1400名に上り、それ以外の方を加えるとゆうにその2倍になるだろうといわれております。東京網走会の目的は、これら首都圏に住まう網走っ子が年に1回集まり、ふるさと網走への熱い思いをたぎらせながら、仲間同士の元気度を確認する会と言えましょう。
(第21回東京網走会で会長交代)
東京〜網走間に1日数便の飛行機が飛び、インターネットのHPで網走新聞の主要記事が読める時代背景の中で、「ふるさとは遠くにありて思うもの」といったふるさと感覚は変質を余儀なくされるものと思います。しかし、私どもの心の内なるふるさと願望や郷党意識は、あたかもふるさとに対する"遠心力"を抑制する"求心力"として作用しているのではないでしょうか。東京網走会の存在意義は、そんな奇妙なバランスの維持装置であると私なりに理解しています。
この種の会の運営に当たっては、会員全体に向けて風通しをよくしておくことが大事と考え、今回新たに若い年齢層の幹事を増員しました。今さら毛沢東の3結合の精神を引き合いに出すつもりはありませんが、「老、壮、青」の協力が欠かせません。
同時に、会として内と外へ向けた発信力を持とうと、今回このようなHPの開設に踏み切った次第です。ご覧のような盛り沢山の内容になっておりますので、会員の皆様からも積極的な情報提供や寄稿をお願い申し上げます。
それにしても、最近痛感するのは網走への関心や評価が高まっていることです。先年、私が「文芸春秋」の「オヤジとおふくろ」欄に父(多田幸吉)のことを書いたところ(網走の思いで参照)、ずいぶん沢山の人から「網走生まれとはうらやましい」といった言葉を聞かされました。
そんな網走の魅力をいっそう高めるためにも、私どもが何らかのお役にたてれば、これにすぐる喜びはありません。また、網走側におかれては、ハコ物志向のマチづくりもさることながら、ソフト、サービス志向の地域おこしに力を入れていただきたい。昨年夏網走を訪ねた出版社仲間の社長が「感動朝市」との出会いを印象深く話していましたが、こういう"場"を企画し、演出していくことが、この21世紀にはもっともっと重要になってくるものと思われます。
(2001年1月1日 志村 幸雄)