「鎌倉散歩」 (その29)   得田 皓則 

◎龍(りゅう)口寺(こうじ)

 龍口寺は江ノ電江ノ島駅から歩いて3分とすぐ近くにあります。江ノ電もこのあたりは専用の線路ではなく、一般道を都電のように車と一緒に走ります。

▽一般道を走る江ノ電

 龍口寺のある所は、鎌倉時代は龍ノ口と呼ばれる刑場でした。

鎌倉時代の後期、日本中は内乱が続き、民衆は飢餓に苦しみ、疫病が蔓延していたが、日蓮聖人は、この惨状を救わんとして、「立正安国論」を撰述、幕府に奏上した。しかし、幕府に理解されず、文永8年(1271年)912日捕らえられ、市中引き回しの上、龍ノ口の刑場に連行された。翌13日斬首の準備を整えられた。日蓮は泰然自若として題目を大音声で唱え、首の座についたという。

本堂と五重塔

この時江ノ島の方から満月のような光ものが飛び来たって斬首の役人は目が眩みおののき倒れたといわれている。(内実は、時の執権北条氏の夫人が懐妊したので、殺生の罪を犯す事を忌むことによるらしい)
その刑場の後に、弟子の日法が草庵をむすんだのが始まりで、慶長6年(1601年)日尊の発願により寺として整備された。
境内には立派な本堂の右奥に鎌倉では唯一の五重塔がある。また、龍ノ口法難の時、日蓮が座ったという首座の石がある。
また、本堂の左側には立派な仏舎利塔があり、江ノ島が見える。

▽日蓮が座ったという首座の石

▽仏舎利の塔

(了)