「鎌倉散歩」 (その36) 得田 皓則
◎金沢文庫・称名寺「金沢」文庫は京浜急行金沢文庫駅から徒歩12分の所にあります。
「金沢文庫」(現在は「かなざわぶんこ」と呼びますが、本来は地名から「かねさわぶんこ」と呼ぶのが正しい)は鎌倉時代1275年頃に北条実時(1224~1276年)がその領地に創設した文庫です。その居館跡は不明ですが、現在の称名寺に隣接し、文庫も独立した家屋として建造された。和漢の書を集め、その蔵書数は分からないが、相当の量であったと推測されている。当時、我が国第一級の文化の中心地であったと思われます。現在、旧金沢文庫の本とされ、国宝・重要文化財に指定されているのは54件380冊に及びます。1333年北条一族が滅んだ後多くの蔵書を失い、実時の菩提寺であった称名寺の管理に属して幕末に至った。1897年称名寺境内に再建されたが、関東大震災で破壊された。1930年復旧事業が完成し、現在神奈川県立金沢文庫として称名寺、金沢文庫に伝えられる文化財を保管する中世歴史博物館として活動しております。
(県立金沢文庫)
北条実時は鎌倉幕府の執権を受け継ぐ北条氏の支流にあたり、第二代執権北条義時の孫に当たります。武蔵国六浦の庄金沢(かねさわ)に拠点を置きました。鎌倉から東西にのびる陸・水運の要所を掌握する一方、金沢文庫に膨大な和漢の書物を集積し、学問好きな一族として知られました。実時の遺志は顕時・貞顕・貞将の三代にわたって受け継がれ、膨大な書籍を残しました。
(実時の墓と実時の肖像)
「称名寺」は1260年実時が審海上人を開山として創建した金沢北条氏の菩提寺です。学問寺として栄え、歴代の権力者からも保護されたため、数多くの寺宝や書物が伝わりました。現在は奈良西大寺を本山とする、真言律宗の別格本山です。釈迦如来像、十二神将像、称名寺絵図など重要文化財がある。
称名寺の庭園は浄土思想に基づいて作られた庭園で、浄土庭園と呼ばれる我が国の代表的な形式の庭園です。金堂と釈迦堂の前面に大きな池を設け、極楽浄土を地上に再現しょうとしたものです。丁度、池にかかる平橋、反橋が新しくなり、赤く塗られた橋と満開の櫻が池に映りまさに極楽浄土?!(称名寺の浄土式庭園と金堂・釈迦堂)
また、称名寺の裏山が「称名寺市民の森」というハイキングコースになっています。一回り約30分ほどですが、途中には実時の墓もあり、頂上からは称名寺と周辺の庭園そして横浜港が見られます。
(称名寺市民の森から見た称名寺と公園と横浜の海)
県立金沢文庫の展示物を見て、隣の称名寺に行き、庭園を見てそれから市民の森を一回りして、周辺の芝生やベンチでゆっくりとくつろぐと半日楽しく過ごせると思います。
(了)