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▽網走の思い出    =成ヶ澤 宏之進=

 「網走モコト浜トーチカは地域住民の汗で築城した!」
                           

 ふるさとを離れ、他国で暮らすものが「ふるさと」のために尽くす道はさまざまある。情報や文化遺産面への支援提供もその一つと考える。
 今、網走市教育委員会などでまとめ、発表している網走の歴史や事件などについて、当時の人々が市内にいないため、一部誤りや不備な点がそのままになっていることがある。このような誤りを正すのも、我らふるさとを離れて暮らすものの役割と考え、筆を執る。

 網走百話、その他に出てくる網走・モコト浜のトーチカは3−40人の兵隊がスコップ一つで3カ月で完成させた、とあるが、これは誤りである。

 実は、時局が緊迫し、冬が迫るのに築城が遅れていたので、近隣郷村の人々が動員され、民間人の渾身の汗によって完成させたものである。昭和19年12月に入り、毎日、3‐40人も築城に出動した。中には14歳の少年まで混じっていた。
私の実家からも12月7日には3人出動した。その中には私自身もいた.これが祖国と同胞を守る保塁と信じ、戦場に立つ気迫で、倒れる寸前まで頑張ったものである。

 網走市教育委員会編集の網走百話には、是非、このくだりを入れて欲しい。あのトーチカは、軍民の合作によると!

 これを機会に、東京網走会有志で、郷土史研究会を発足させることを提案したい。

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